​乾癬

​乾癬は皮膚が赤くなって厚くなったり、フケのようなもの(鱗屑)を伴ったりする慢性の皮膚疾患(炎症性角化症)です。皮膚が厚くなるのは、炎症が生じて、ターンオーバーが通常45-47日のところが5.25日と著しく亢進しているためです。乾癬の原因について、まだ不明なところも多いですが、遺伝的要因、表皮角化細胞の異常、炎症細胞の異常(Th17細胞、制御性T細胞、樹状細胞)などがわかってきており、近年病態解明が急速に進んできています。また、TNFα、IL-17、IL-23といった重要な炎症因子を抑えるターゲット療法が開発され、治療もどんどん変わってきています。

乾癬の病型

①尋常性乾癬:もっとも多いタイプで、皮膚の症状がメイン。

②関節症性乾癬:乾癬性関節炎を伴うタイプ。

③乾癬性紅皮症:乾癬の皮疹が全身に広がり、皮膚全体の8割以上を覆う状態。

④膿疱性乾癬:発熱、膿疱(うみを持った水疱)を伴った皮膚の発赤が見られるタイプ。指定難病になっています。

⑤急性滴状乾癬:感染症をきっかけに一過性に皮疹が生じるタイプ。感染症の治癒とともに症状が落ち着きますが、まれに再発を繰り返して尋常性乾癬に移行します。

皮膚症状

全身のどこでも生じますが、肘、膝、腰などの力がかかりやすい・擦れやすい部位、下腿にできやすいです。発疹は少し厚みを持った、フケが表面にある赤いもので、大きさは数mmから数cmとさまざまです。頭皮、臀部、爪にある発疹は難治と言われています。

その他症状

・関節炎

乾癬患者の約15%に合併ます。炎症が関節部にも及ぶことによって、手足(指)の関節、アキレス腱、足の裏、首〜背骨に痛み、腫れ、こわばりが生じます。炎症が進むと関節が破壊され、変形し、もとに戻らない状態となります。QOL(生活の質)を大きく損なう症状です。

・メタボリックシンドローム

乾癬患者ではメタボリックシンドロームの患者が統計的に多いと報告されています。肥満、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)等を改善することによって、乾癬の症状を改善につながることがあります。

​・心血管疾患

​慢性炎症により心筋梗塞、脳梗塞などの心血管イベントのリスクが上昇します。

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​当院での診療

・検査

診断は視診で可能ですが、必要な場合には皮膚生検で確定診断します。

皮膚症状を点数化、関節症状の有無

採血で全身状態の確認

・治療の方針の相談

乾癬の治療は近年強力な新薬が次々と開発されています。重症度、年齢、健康状態、治療の予算、生活スタイルなどを総合的に判断し、患者様に合った選択肢をご提案いたします。当院は日本皮膚科学会生物学的製剤使用承認施設であり、すべての薬剤が処方可能です。

・治療開始

​治療効果および副作用を評価し、必要があれば、治療法の変更を行います。

乾癬の治療法

塗り薬:軽症〜重症、もっとも基本かつ重要な治療手段

①ステロイド外用

皮膚の炎症を抑える効果があります。症状や部位に応じて異なる強さのものを使い分け、治療効果、副作用のバランスが取れた治療を努めます。

②ビタミンD3外用

皮膚の角化(ターンオーバー)を調整する作用があります。

③ステロイド・ビタミンD3混合外用

従来①と②同時に使用することが多かったが、薬剤として混合外用薬が開発され、外用が簡便になりました。

紫外線治療:軽症〜中症

narrow band UVBという特定の波長に絞った紫外線を皮疹に当てる治療です。部分用と全身用の照射装置があります。(当院では現在設備なし)

飲み薬:中症〜重症

①エトレチナート(チガソン®)

表皮の分化異常に着目した薬剤。性腺細胞(精子や卵子)はこの薬剤に敏感であるために催奇形性があり、避妊に関する承諾書が必要。目立つ副作用としては、口唇の落屑(カサカサとした皮むけ)があります。

②シクロスポリン(ネオーラル®など、ジェネリックあり)

免疫抑制剤。皮膚の炎症を全体的に抑える効果があります。腎機能障害、高血圧症などの副作用があります。

③アプレミラスト(オテズラ®)

PDE4という分子を抑えることによって、それを介して起こる炎症を全般的に抑えます。吐き気、下痢などの副作用があります。効果が現れるまで少し時間がかかる場合があります(3ヶ月程度)。

 

④メトトレキサート(リウマトレックス®など、ジェネリックあり)

関節リウマチや自己免疫疾患に古くから使われる免疫抑制剤で、抗がん剤としても使われます。貧血、白血球減少などの副作用があります。

ターゲット療法:重症

①生物学的製剤(抗体製剤、注射)

乾癬に重要なTNFα、IL-17、IL-23炎症因子をピンポイントで抑えることで高い治療効果と少ない副作用を示します。副作用として注射部位の反応がみられたり、結核やB型肝炎などの感染症が治療中に悪化することがあります。

・TNFα阻害薬(ヒュミラ®、シムジア®)

​・IL-17阻害薬(コセンティクス®、トルツ®、ルミセフ®)

・IL-23阻害薬(ステラーラ®、スキリージ®、トレムフィア®、イルミア®)

​②JAK阻害薬(リンヴォック®)

JAK因子をブロックすることによって、それを介して行われるサイトカインの細胞内シグナル伝達をブロックし、炎症・免疫反応を抑えます。1日1回の飲み薬で、増減が可能です。関節症性乾癬のみに適応があります。