アトピー性皮膚炎

​先天的なアトピー素因と後天的な様々な環境刺激因子が引き起こす慢性炎症性湿疹です。

​いわば、アレルギーになりやすい体質、肌が弱い体質などに乾燥、汗などの刺激が加わると、湿疹を繰り返す状態になります。

アレルギー体質

皮膚のバリア機能低下

外部から皮膚への刺激

アトピー性皮膚炎発症

アトピー性皮膚炎は3才までにおそよ3割の人が発症する非常に身近な病気です。

​乳幼児・小児期に発症することが多く、年齢とともに症状は改善しますが、一部の患者が成人型アトピー性皮膚炎に移行します。

・小児型では、気管支喘息、食物アレルギーなど他のアレルギー疾患の合併がしばしばみられます。また、近年の研究では、アレルギー物質が炎症のある皮膚から体内に侵入し、アレルギーが成立することがわかってきており、アトピー性皮膚炎に対する適切な治療が他のアレルギーの発症回避や症状緩和にとても重要です。 

・成人型では、最重症と分類される方は大学生〜30才台で割合が最も多く、勉学、就職、仕事に支障が生じることも多いです。

当院での診療

​・検査

皮膚症状を点数化、血液検査→重症度の評価

他のアレルギー疾患の評価

・治療の方針の相談

アトピー性皮膚炎の治療は近年強力な新薬が次々と開発されています。重症度、年齢、健康状態、治療の予算、生活スタイルを総合的に判断し、患者様に合った選択肢をご提案いたします。当院は日本皮膚科学会生物学的製剤使用承認施設であり、すべての薬剤が処方可能です。

・治療開始

​治療効果および副作用を評価し、必要があれば、治療法の変更を行います。

アトピー性皮膚炎の治療法

塗り薬:軽症〜最重症、もっとも基本かつ重要な治療手段

①保湿剤

症状がある場合はもちろんのこと、ないときでも保湿は大事です。

​②ステロイド外用

症状や部位に応じて異なる強さのものを使い分け、治療効果、副作用

のバランスが取れた治療を努めます。

「ステロイドは怖いもの、使わない方がよい」と聞かれることはありますが、

日本皮膚科学会・日本アレルギー学会はそのような考えを支持していません。

ステロイド外用の副作用を正しく認識し、正しく使用することが重要です。

③タクロリムス外用(プロトピック®)

顔面、首、あるいはステロイド外用で改善した体幹四肢に使用します。​

ステロイド外用と組み合わせること、ステロイド外用の副作用を減らします。

④JAK阻害薬外用(コレクチム®)

顔面、首、あるいはステロイド外用で改善した体幹四肢に使用します。​

​ステロイド外用と組み合わせること、ステロイド外用の副作用を減らします。

⑤ホスホジエステラーゼ4阻害薬(モイゼルト®)

2021年9月に製造販売承認申請が行われた外用薬。③、④に加わった新たな非ステロイド外用薬の選択肢です。

飲み薬:中症〜重症

①抗ヒスタミン薬

かゆみ止め、アレルギー症状の緩和。

②シクロスポリン(ネオーラル®など)

免疫抑制剤。塗り薬では改善が難しい・そもそも塗ることが難しい場合に使用します。腎機能障害、高血圧症などの副作用があります。

ターゲット療法:重症〜最重症

①IL-4/13受容体モノクローナル抗体(デュピクセント®)

​アレルギーに働く中心的なサイトカイン(炎症因子)であるIL-4/13をピンポイントに抑えるアトピー性皮膚炎初の生物学的製剤です。高い治療効果と少ない副作用を示す新しい治療アプローチです。

​②JAK阻害薬(オルミエント®、リンヴォック®、サイバインコ®)

JAK因子をブロックすることによって、それを介して行われるサイトカインの細胞内シグナル伝達をブロックし、炎症・免疫反応を抑えます。1日1回の飲み薬で、増減が可能です。

③IL-31受容体モノクローナル(ネモリズマブ、発売前)

​かゆみに働くIL-31因子を抑えることによって、これまで抗ヒスタミン薬でも改善しない強いかゆみが改善することが期待されています。