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じんま疹

皮膚や粘膜に、かゆみを伴う赤い、少し盛り上がった発疹(膨疹)が出没する病気です。発疹は通常数時間で自然に消えますが、2-3日続く場合もあります。特殊なものとして、顔面(とくにまぶた、唇)などの皮膚・粘膜の深部に生じる浮腫症状は血管性浮腫と呼ばれます。じんま疹のほとんどは皮膚・粘膜の症状に限られますが、腹痛・嘔吐、発熱、気分の不快、息苦しさなど皮膚以外の症状を伴うこともあります。

じんま疹の分類

①原因がはっきりしない(特発性じんま疹):多くはこれに該当します。ほぼ毎日症状が出ます。

・急性じんま疹:発症後6ヶ月以内。感染症などをきっかけに生じる一過性のもので、1ヶ月以内に多くの方が治癒に至ります。

​・慢性じんま疹:発症後6ヶ月以上。症状改善に数ヶ月〜数年かかります。

②原因がはっきりする(刺激誘発型じんま疹)

・アレルギー性じんま疹:食べ物、薬などのアレルギーで発症するもの。

・物理性じんま疹:擦る・圧迫するなどの刺激、寒冷・温熱刺激、日光、水などが原因で発症するもの。

​・コリン性じんま疹:入浴、運動など汗をかく状況で、体に比較的小さい膨疹が出ます。かゆみ、さらにぴりぴり、ちくちくとした痛みを伴うことも多いです。無汗症・乏汗症(汗がでない・でにくい病気)、汗アレルギーを合併することがあります。

・アスピリンじんま疹:アスピリンをはじめとする多くの消炎鎮痛薬(かぜ薬、痛み止め)の成分に対して代謝しにくいことでじんま疹の症状がでます。また、サリチル酸が原因として重要で、消炎鎮痛薬以外に果物・野菜、食品添加物・着色料、スパイスにも含まれるため、注意が必要です(食物アレルギーと間違えられることもあります)。

サリチル酸を多く含む食品をまとめたHPをご紹介します。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1s3jvaFqRpuMDJ7VcZlez5k2SP7yRNLmlVS-CMF72xmQ/edit#gid=5

・接触じんま疹:特定のものに触れたとき、その部位に膨疹が生じるもの。

③血管性浮腫

​遺伝性のものとそうでないものに分けられます。

④蕁麻疹類似疾患

・蕁麻疹様血管炎:発疹が24時間以上つづき、膨疹に紫斑(皮下出血)を伴ったり、膨疹消退後に色素沈着を伴ったりします。じんま疹とは別疾患で、血管炎から生じるものです。

当院での診療

・検査

​じんま疹のタイプ・原因を検討

必要に応じて血液検査、アレルギー検査(採血)を行います。

・治療の方針の相談

重症度、治療の予算、生活スタイルを総合的に判断し、患者様に合った選択肢をご提案いたします。

じんま疹の治療法

①原因がはっきりしている場合、原因を避ける工夫をします。

②抗ヒスタミン・アレルギー薬

ヒスタミンはじんま疹、かゆみを引き起こすKeyの因子で、これを主に抑える薬です。

開発された年代で、第一世代(眠くなる)、第二世代(眠くなりにくい、効果が高い)に分けられます。

 

ヒスタミンのスイッチ(受容体)は脳内にも存在し、覚醒、集中に関わりますが、抗ヒスタミン・アレルギー薬はここにも作用し、副作用となります。

・眠気

・Impaired performance(認知機能障害、自覚がなく作業効率が低下してしまうこと)

第二世代の中でも、薬によって脳内ヒスタミン(H1)受容体占拠率は異なり、20%以下のものは非鎮静性、20-50%は軽度鎮静性となります。

さらに非鎮静性の中で、「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」という注意喚起がないのは

ビラスチン(ビラノア®)、デスロラタジン(デザレックス®)、フェキソフェナジン(アレグラ®)、ロラタジン(クラリチン®)の4剤です。

③胃薬

​意外かもしれませんが、胃薬の一部(例えばガスター®)は2型のヒスタミンを抑えます。2型のヒスタミンはじんま疹の一部に関わっているため、抗ヒスタミン・アレルギー薬のみでは病状が改善しないときに、追加することがあります。

④抗ロイコトリエン薬(喘息の薬)

⑤トラネキサム(トランサミン®)

胃薬と同様に、抗ヒスタミン・アレルギー薬を補助し、治療効果を高めます。

生物学的製剤(ゾレア®)

重症の特発性慢性じんま疹、花粉症などに使います。4週間に1回の注射です。

ヒスタミンや他のじんま疹誘発物質の放出に関わるIgE因子をブロックする抗体の薬です。

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